今日1月6日は、フランスではエピファニー(キリスト公現祭)といって、ガレット・デ・ロワ(王様たちのガレット)というお菓子を食べる日です。
エピファニーは、星の知らせでキリストが生まれたのを知った東方の三博士(王)が、厩に救い主を訪ねて来た日ということで、クリスマスに始まるキリスト降誕祭の最終日ですが、いまどきのフランス人には、そんなことより、まずガレット。パイ生地の中にアーモンドパウダーで作ったフィリングが入った、わりと素朴なお菓子。面白いのは中にフェーヴと呼ばれる小さな固いものが入っていること。数人で切り分けて食べたときに、このフェーヴが入っているのが当たると「王様」になれるというので、老若男女、ワイワイ、お菓子を囲むのが楽しいのです。ふつうは、大人が切り分けている間に、一番小さい子どもがテーブルの下に隠れて、「それはおじいちゃんに」「それはお姉ちゃんに」というように、見ないで皆に振り分けます。
さて、今、私は東京にいるのですが、久しぶりに外出したところ、日本橋の三越の地下で、ガレット・デ・ロワに遭遇しました。日本の家族にフランスの伝統菓子を、王様ごっこの風習ごと食べさせてやろうと、これをひとつ購入することにしました。ところが・・・
「フェーヴ、おつけしますね」
と、レジで袋に入った小さなフェーヴをおまけのように付けてくれるではありませんか!!!
「フェーヴは中に入っているんじゃないんですか?」
と訊くと、
「あぶないので、中には入れません。ご希望でしたらご自分で入れてください」
え、そんな・・・
けれど次の瞬間、私はにっこりしました。
実は、年末に父が他界したのです。実家のリビングには、大きな遺影のある祭壇が鎮座していて、食事やお茶のたびごとに、お供えをしています。
だから、このガレットのフェーヴは、お父さんのに入れてあげよう。
考えてみれば、フェーヴを中にいれない気遣いも理解できます。みんながフェーヴを探しながら食べるフランスとは違って、そんなものが入っているとは知らない人が多い日本で、うっかりフェーヴを呑み込まれて幼児や老人になにかあっては困ります。だいたい、老人の死の引き金を引くのが、「誤嚥」であることは多い。母は、父の具合が急転したのが、「誤嚥」のせいではないことを知って、とても救われていました。でも、今はもう、誤嚥の怖れもなく、お父さんにあげられます。
仏教でお葬式をして戒名もいただいた父が、エピファニーのガレットであの世で王様になれるのか、真面目に考えるとあまり自信がなくなってきますが、どうもまだ、この辺りを漂っているような魂に幸せなことがありますように。
*******
この話には後日談があります。今朝、葬儀でお世話になった業者の方が、お位牌の相談にいらっしゃいました。お茶を出すときに、余っていたガレットを切り分けたところ、仏様にお供えしようとした最後の一切れに、アーモンドが入っていました。日本では、のどに詰まると危ないフェーヴの代わりに、噛み砕いて食べられるアーモンドを入れていたことがそのとき分かりました。そして私が小賢しいことをしなくても、フェーヴは「お父さん」に当たったのでした。(1月8日)
2014年1月6日月曜日
2013年12月6日金曜日
秘密保護法が国会通過した日
朝、起きるとネルソン・マンデラが死んでいた。
世界中の国家元首、首脳から弔辞が寄せられていた。
秘密保護法案が参院でもまた強行採決されようとしていたこの日、日本の首相はどのツラ下げて、マンデラに弔辞を送るのだろうと思った。
秘密保護法案は、言論の自由を損ない、人権に抵触する法案だ。国連人権高等弁務官が異例の懸念表明をしたくらい。
けれど、連日大きくなるデモも、学者、芸術家、ジャーナリストなどの数々の団体の反対声明も、地方議会の慎重審議を呼びかける議決も無視し、国会は力づくで議論を打ち切り、数の力で採決を強行した。衆院でも参院でも、合計4回も。
悪夢のようだ。
議論も尽くさず、そんなに急いでなりふりかまわず法案を通したのは、議論すればするほどボロが出ると知っているから? 戦争をする国に日本を作り変えるのに早くしなければならない理由があるから?
それにしても、どこまで国民をバカにしているのだろう。「可決後、ご説明いたしますから、ご理解、ご安心いただけると思います」。ご理解いただいてから採決するのが民主主義なのは、小学生でも知っているはず。
マンデラの死んだ日、日本では民主主義が大きな打撃を受けた(「死んだ」とは言わない)。どうしてこんなことになってしまったのか、と思うと目がくらむ。
秘密保護法案の可決を何より恐れて来た、この数ヶ月、特にこの一ヶ月。
でも、可決されてしまった今、私には、多くの人と同じように、「抵抗を続けよう」という気持ちだけがある。抵抗する人を助けたいと思う。
施行されるまでにはまだ時間がある。打つ手はある。
頑張りましょう。
頑張りましょう。
*******
おまけ
Facebookで流れてきた「今日の名言」より
「何もせず、何も言わず、不正に立ち向かわず、抑圧に抗議せず、それで自分たちにとっての良い社会、良い暮らしを求めることは不可能です。(ネルソン・マンデラ)
おまけ
Facebookで流れてきた「今日の名言」より
「何もせず、何も言わず、不正に立ち向かわず、抑圧に抗議せず、それで自分たちにとっての良い社会、良い暮らしを求めることは不可能です。(ネルソン・マンデラ)
2013年10月17日木曜日
フランスで、また高校生デモ
今日は、フランスの高校生が、不法滞在のコソボ人の15歳の少女とアルメニア人の19歳の少年の国外退去処分に対し、マニュエル・ヴァルス内相に抗議し、フランスへの帰還を求めて、各地でデモをし、パリでは1万人を集めました。
不法滞在といっても、長年フランスで暮らし、学校に通って来た級友。それが警察に捕まって本人には馴染みもない「母国」に返されるのを目の当たりにする例は、多くのフランスの子どもが目にしています。
今回は、左翼政権になったのにサルコジの時代とまったく変わらず、ロマの人々を迫害したり、こうした対移民強硬策をとるヴァルスに対する違和感、失望と怒りが一気にあふれ出たのだと思います。(左翼政権になってから生徒が国外退去になるのは5人目)
それにしても、高校生がデモをするたびに、日本でこういう光景を見ることは絶対にないだろう、フランスの高校生はすごいな、と思います。
「フランスは本来、自由、平等、博愛の国であるはずなのに、この国に適応し、教育を受けている人間を、教育の場に警察が踏み込んで逮捕し、その将来を奪うということが許されますか」
と、インタビューを受けていた高校生が言っていました。
現実のフランスは理想とはかけ離れているけれど、それでも高校生がこんな風にまっすぐ言えることを羨ましく感じました。
また、ヴァルス内相は八方から批判の的になり、政府は内相辞職は考えていないらしいものの、処分された子どもの処遇は考え直すことになりそうで、日本の政府とは違って、デモを無視するようなことはないようです。
ところで最近、フランスは、市町村選挙の投票権を「16歳以上」に引き下げました。こういうデモを見ていると、16歳はとうぜん、政治参加する資格を持っていると思わせますね。
日本でも、選挙年齢を引き下げたらいいという議論がありますが、高校生に選挙権を持たせて、政治参加の責任を促すというのも、もしかしたら良いのかもしれません。
2013年9月29日日曜日
パンプキン・フランのレシピ
パンプキン・ケーキのレシピをブログに載せてからなんともうすぐ一年…
「次はフランを作ります。乞う、ご期待」と書いたことをすっかり忘れていました。
パンプキン・フラン
材料(6人分)
市販のタルト生地 1本 (なければ自作)
卵3個砂糖100g (甘さ控えめなので、甘い方がよい方は120g)
コーンスターチ 25g
小麦粉 25g
牛乳 250cc (かぼちゃのピュレに水分があまりないときは、牛乳の量を増やしてください。)
塩入りバター ひとかけ
バニラ 小さじ半分
かぼちゃのピュレ 250g
1、
かぼちゃのピュレを作る。皮と種をとったかぼちゃを切って少量の水といっしょに鍋に入れ、火にかける。柔らかくなったらミキサーにかける。
2、 オーブンを180度に温め始める。
3、
タルト生地を直径28センチの型に広げて冷蔵庫に入れておく。
4、
ミルクとバターを鍋にいれて火にかけ沸騰させる。
5、
ボールに、卵と砂糖とバニラを入れて撹拌する。
6、
5にコーンスターチと小麦粉を加えて混ぜる。
7、
6にかぼちゃのピュレを加える。
8、
7に4のミルクを少しずつ加えながら泡立て器で混ぜる。
9、
8を鍋に戻し、火にかけて、少しもったりしてくるまで、底が焦げ付かないように絶えずかき混ぜる。
いきなり変化球でオリジナルの「パンプキン・フラン」でしたが、ふつうのフランが作りたいときは、牛乳が500cc、コーンスターチと小麦粉はそれぞれ40gになります。
フランというのは、日本では意外に知られていませんが、フランスでは、田舎町や気取らないパン屋さんで売られていて、気取ったお店では売っていないような実に素朴で庶民的なお菓子です。カスタードクリームを固くしたような感じで、見かけも無骨だし、長年の間、私はまったく心惹かれませんでした。
ところが、ドイツに住んでいる従姉のご主人のベルギー人(ややこしい)が、これが好物で、「昔、フランスで食べたあのお菓子が忘れられない、レシピを教えてくれ」と言うので、食べたこともないお菓子のレシピを、あっちこっち探して見つけて送ってあげたのです。
けれど作ってみたら、これが美味しくて家族にも大ウケ。以来、私のお菓子レパートリーに入りました。
2013年9月14日土曜日
パブリックコメントを書く
都合の悪い情報は国民の目に触れさせない、異なる意見を持つ人間は取り締まり、思想、言論の自由を制約する…
遠い学校時代に教室で習った「戦前」の悪法が、「特定秘密の保護に関する法律」という名前でリニューアルしてカムバック、もうすぐ国会に提出されようとしています。
その前に、私たち国民が、反対の意見を表明できる機会があります。9月17日までのパブリックコメントの受け付けです。
というわけで、私も駆け込みで、たった今、パブコメを官房内閣情報調査室に送りました。
こんなもの。↓
内閣情報調査室御中
パブリックコメントを送られる方は、こちらのブログにリンクがあり、簡単に提出できます。http://nohimityu.exblog.jp/20720759/
名前や住所などの個人情報は任意です。私は書いてしまいましたが、書かないことをお勧めします。
私の意見なんか、どうせ… と、書く前から何もしないを決め込む人もいるかもしれないけれど、
なにもしないということはニュートラルじゃない。だって、今までなくて困らなかった法律なんですよ。ニュートラルというならむしろ、作らせないことでしょう。反対できるときにしないということは、この法律の成立に加担することでもあると気がついてください。
といっても、書くのは大変ですよね。 文面は日弁連の作ってくれた文例集が参考になります。私も参考にしました。コピペでそのまま出すのは、気がとがめるかもしれません。けれど、時間のない方はそれでも出さないよりよいと思うので、ぜひ利用してください。↓
http://nohimityu.exblog.jp/20725356/
法律案はここから読めますが、http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0
理解するには、日弁連の、「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書が、役に立ちます。↓
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130912.html
中曽根内閣のとき提出された「国家秘密法案」は、一般市民とマスコミの反対で、廃案になったそうです。
1985年にできたことが、2013年にできない理由がありますか?
遠い学校時代に教室で習った「戦前」の悪法が、「特定秘密の保護に関する法律」という名前でリニューアルしてカムバック、もうすぐ国会に提出されようとしています。
その前に、私たち国民が、反対の意見を表明できる機会があります。9月17日までのパブリックコメントの受け付けです。
というわけで、私も駆け込みで、たった今、パブコメを官房内閣情報調査室に送りました。
こんなもの。↓
内閣情報調査室御中
特定秘密の保護に関する法律案を読みましたが、私は、この法律に反対します。
まず第一に、対象となる特定秘密の範囲が広すぎて、なんでも「秘密」にされてしまう危険が大きすぎます。
そしていったん、特定秘密に指定されると、その漏えいや取得、つまり内部告発や取材活動が処罰されることになってしまいかねません。
これは、国民の知る権利を奪うことになります。日本は民主国家であり、本来、主権は国民にありますが、重要な情報を知ることができなければ、主権を行使することができません。たとえ、選挙があったとしても、偏った情報に操作された国民の意思表示は、民主主義国の民意とは考えられないものになります。
また、特定秘密に指定されたものを、国民に知らせようとする行為、つまり正常な報道や意見表明が厳罰に処されるということは、日本の社会から、言論の自由を奪い、弾圧するということになります。
時の権力者が自分の意のままに情報を操作し、異なる意見を持つ人間を取り締まることを可能にします。
これは明らかに憲法に違反しています。
このような危険な法律を作る理由はどこにもありません。
私は、主権を持つ国民のひとりとして、憲法が私に保障している権利を守りたいと思いますし、守る義務があると思います。
特定秘密の保護に関する法律案は破棄していただきたいと思います。
以上
パブリックコメントを送られる方は、こちらのブログにリンクがあり、簡単に提出できます。http://nohimityu.exblog.jp/20720759/
名前や住所などの個人情報は任意です。私は書いてしまいましたが、書かないことをお勧めします。
私の意見なんか、どうせ… と、書く前から何もしないを決め込む人もいるかもしれないけれど、
なにもしないということはニュートラルじゃない。だって、今までなくて困らなかった法律なんですよ。ニュートラルというならむしろ、作らせないことでしょう。反対できるときにしないということは、この法律の成立に加担することでもあると気がついてください。
といっても、書くのは大変ですよね。 文面は日弁連の作ってくれた文例集が参考になります。私も参考にしました。コピペでそのまま出すのは、気がとがめるかもしれません。けれど、時間のない方はそれでも出さないよりよいと思うので、ぜひ利用してください。↓
http://nohimityu.exblog.jp/20725356/
法律案はここから読めますが、http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0
理解するには、日弁連の、「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書が、役に立ちます。↓
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130912.html
中曽根内閣のとき提出された「国家秘密法案」は、一般市民とマスコミの反対で、廃案になったそうです。
1985年にできたことが、2013年にできない理由がありますか?
2013年9月7日土曜日
オリンピック東京招致に思う
明日には、2020年のオリンピック開催地が決まります。
あなたがこの文を読むときには、もう決まっているかもしれない。
決まる前に、東京生まれで東京に実家のある私は、東京にオリンピックが来ることを望まない、ということを書いておきたいと思います。
この夏、東京に里帰りしたとき、小学校の、道に面したフェンスに、「この国には夢の力が必要だ」という大きな垂れ幕を目にして、私はぎょっとしました。オリンピック招致のスローガンと知って、とても嫌な気持ちがしました。
東日本大震災と原発事故のため、東北はいまだ立ち直れないほどの打撃を受け、関東地方も放射線の脅威にさらされています。
深刻に、国の建て直しを図らなければなりません。
だから「夢」が必要だ、と言われると、なんとなく分かるような気がする。
けれど、それがオリンピックなの?
東京でオリンピックをやると、東北が復興するのですか?
東北の、被災地の、そして原発事故で生活の糧を失った人たちが、東京のお祭り騒ぎで「夢」を持てるのですか?
東京人だって、お祭り騒ぎでできるのは、不安を忘れて見ないフリをすることだけではないですか?
この国に必要なのは、夢じゃない、現実を直視する力です。
オリンピック招致にブエノスアイレスくんだりまで都知事や都議会議員が大挙して行って、首相が世界を相手に大法螺吹いてくることではなくて、
福島第一原発の汚染水漏れを止め、確実に収束作業ができるように、実効性のある解決策を練って実行することです。
オリンピック招致やオリンピック準備に使える予算があるのなら、原発事故の収束のために使ってください。最高の技術の投入や、作業員の待遇改善のために使ってください。
そうして、日本を本当に安全な場所にしてから、世界中のトップアスリートをお迎えさせてくださいと手を挙げるのが礼儀ではありませんか?
今の東京は、世界中のアスリートと応援の方たちを、お迎えできるような安全な場所ではありません。
福島第一原発は、汚染水が溢れ出して、収束作業ができなくなったら、あるいはまた大きな地震や竜巻などが起こって、すでにかなり壊れている原子炉や使用済み燃料棒が保存されているプールがさらに破損されたら、どんな恐ろしいことになるか分からない状態なのです。
神のご加護かなにかで現状が保たれたところで、東京は、それなりに放射線量が高く、水も、食べ物も汚染されているのです。東京が全部、チェルノブイリ並み、とは思いませんが、東京の一部に、本来なら放射線管理区域になるくらい放射線量の高い地域があるというのは本当だと思います。
東京に家のある人が住んでいるのは仕方がないかもしれない。
けれど、今は、外国のお客様を迎える場所ではないし時でもないと思います。
東京に決まらないことを心から祈っています。
あなたがこの文を読むときには、もう決まっているかもしれない。
決まる前に、東京生まれで東京に実家のある私は、東京にオリンピックが来ることを望まない、ということを書いておきたいと思います。
この夏、東京に里帰りしたとき、小学校の、道に面したフェンスに、「この国には夢の力が必要だ」という大きな垂れ幕を目にして、私はぎょっとしました。オリンピック招致のスローガンと知って、とても嫌な気持ちがしました。
東日本大震災と原発事故のため、東北はいまだ立ち直れないほどの打撃を受け、関東地方も放射線の脅威にさらされています。
深刻に、国の建て直しを図らなければなりません。
だから「夢」が必要だ、と言われると、なんとなく分かるような気がする。
けれど、それがオリンピックなの?
東京でオリンピックをやると、東北が復興するのですか?
東北の、被災地の、そして原発事故で生活の糧を失った人たちが、東京のお祭り騒ぎで「夢」を持てるのですか?
東京人だって、お祭り騒ぎでできるのは、不安を忘れて見ないフリをすることだけではないですか?
この国に必要なのは、夢じゃない、現実を直視する力です。
オリンピック招致にブエノスアイレスくんだりまで都知事や都議会議員が大挙して行って、首相が世界を相手に大法螺吹いてくることではなくて、
福島第一原発の汚染水漏れを止め、確実に収束作業ができるように、実効性のある解決策を練って実行することです。
オリンピック招致やオリンピック準備に使える予算があるのなら、原発事故の収束のために使ってください。最高の技術の投入や、作業員の待遇改善のために使ってください。
そうして、日本を本当に安全な場所にしてから、世界中のトップアスリートをお迎えさせてくださいと手を挙げるのが礼儀ではありませんか?
今の東京は、世界中のアスリートと応援の方たちを、お迎えできるような安全な場所ではありません。
福島第一原発は、汚染水が溢れ出して、収束作業ができなくなったら、あるいはまた大きな地震や竜巻などが起こって、すでにかなり壊れている原子炉や使用済み燃料棒が保存されているプールがさらに破損されたら、どんな恐ろしいことになるか分からない状態なのです。
神のご加護かなにかで現状が保たれたところで、東京は、それなりに放射線量が高く、水も、食べ物も汚染されているのです。東京が全部、チェルノブイリ並み、とは思いませんが、東京の一部に、本来なら放射線管理区域になるくらい放射線量の高い地域があるというのは本当だと思います。
東京に家のある人が住んでいるのは仕方がないかもしれない。
けれど、今は、外国のお客様を迎える場所ではないし時でもないと思います。
東京に決まらないことを心から祈っています。
2013年9月3日火曜日
親の出番
今日は息子が初めて中学に行く日。
日本語を公立の中学校の正規授業で学ばせてくれるパリ16区にあるラ・フォンテーヌという学校に行かせようと思ったママの思惑は失敗し、コパン(仲間)といっしょに近くの公立校に行く、と言い張った息子の意志が通って、あきらは晴れて、この辺りで一番、評判の悪い中学に、お姉ちゃんとともに通えることになりました。
評判が悪いとは言っても、地域柄、荒れた学校ではないのですが、実は我が家の真ん前には、全国的にも名の通った、中高一貫の私立名門校があるのです。私立校には、カトリックのフランス人家庭の、見た目にも「白い」子弟が集まり、公立校はそうでない、ユダヤ系、プロテスタント、そしてイスラム系の移民子弟が溜まっています。まあ、こうなると我が家は当然、公立校のタイプ。ちなみに娘の話によれば、この二つの学校の生徒は互いに反目しているとか。
さて、フランスは入学式というものがないので、親にはまるで出番がありません。あきらは、もうママはいらない、お姉ちゃんに連れてってもらう、と豪語していたのですが、ドイツ語のクラスに入れたかどうか知らせてくる手紙が届いていなかったので、万が一、問題があった場合にはママがいた方が良いということで、どうにかいっしょに行かせてもらえました。
ドイツ語のクラスというのは、中一からドイツ語を勉強できるクラス。英語はいずれにしろ必修なので、外国語をふたつやるわけです。ドイツ語好きの夫の希望で、あきらはやらされることになりました。夫は小学校へ送る道々、息子にドイツ語をこっそり仕込んでいたのです。
予定の9時にどっと敷地内に入った新入生とその親たち。クラスが発表された掲示板の前はたいへんな人だかりで、気の弱いあきらはとても近づけず、「見えなかった」と押し出されてくる始末。結局、ママが果敢に割り込んでいって、ドイツ語のできるA組だということを確かめたので、今回、私の出番は、これだったということになるかもしれません。
あきらは聞いたとたんに、「ガブリエルといっしょだ」と、喜んで友だちのところへ駆けて行きました。親はもう何もすることがないとはいえ、それでも、お姉ちゃんのときは、一応、親も教室に招きいれてくれたのに(しかし一体なんのため? と疑問に思いながらすぐ階段を下りるはめになったのでしたが)、今回は、入り口の外にたむろしている親子たちに向かって、「第六学級A組」と担任が呼びかけると、ぞろぞろと子どもだけが入っていくという、実にあっけない儀式でした。
涙をこらえて「ママ、もう行ってもいいよ」と言った、8年前(幼稚園に入った年)とは様変わりでしたが、どうしているかな、と一日中、気になったのはまったく同じ新学期の初日でした。
日本語を公立の中学校の正規授業で学ばせてくれるパリ16区にあるラ・フォンテーヌという学校に行かせようと思ったママの思惑は失敗し、コパン(仲間)といっしょに近くの公立校に行く、と言い張った息子の意志が通って、あきらは晴れて、この辺りで一番、評判の悪い中学に、お姉ちゃんとともに通えることになりました。
評判が悪いとは言っても、地域柄、荒れた学校ではないのですが、実は我が家の真ん前には、全国的にも名の通った、中高一貫の私立名門校があるのです。私立校には、カトリックのフランス人家庭の、見た目にも「白い」子弟が集まり、公立校はそうでない、ユダヤ系、プロテスタント、そしてイスラム系の移民子弟が溜まっています。まあ、こうなると我が家は当然、公立校のタイプ。ちなみに娘の話によれば、この二つの学校の生徒は互いに反目しているとか。
さて、フランスは入学式というものがないので、親にはまるで出番がありません。あきらは、もうママはいらない、お姉ちゃんに連れてってもらう、と豪語していたのですが、ドイツ語のクラスに入れたかどうか知らせてくる手紙が届いていなかったので、万が一、問題があった場合にはママがいた方が良いということで、どうにかいっしょに行かせてもらえました。
ドイツ語のクラスというのは、中一からドイツ語を勉強できるクラス。英語はいずれにしろ必修なので、外国語をふたつやるわけです。ドイツ語好きの夫の希望で、あきらはやらされることになりました。夫は小学校へ送る道々、息子にドイツ語をこっそり仕込んでいたのです。
予定の9時にどっと敷地内に入った新入生とその親たち。クラスが発表された掲示板の前はたいへんな人だかりで、気の弱いあきらはとても近づけず、「見えなかった」と押し出されてくる始末。結局、ママが果敢に割り込んでいって、ドイツ語のできるA組だということを確かめたので、今回、私の出番は、これだったということになるかもしれません。
あきらは聞いたとたんに、「ガブリエルといっしょだ」と、喜んで友だちのところへ駆けて行きました。親はもう何もすることがないとはいえ、それでも、お姉ちゃんのときは、一応、親も教室に招きいれてくれたのに(しかし一体なんのため? と疑問に思いながらすぐ階段を下りるはめになったのでしたが)、今回は、入り口の外にたむろしている親子たちに向かって、「第六学級A組」と担任が呼びかけると、ぞろぞろと子どもだけが入っていくという、実にあっけない儀式でした。
涙をこらえて「ママ、もう行ってもいいよ」と言った、8年前(幼稚園に入った年)とは様変わりでしたが、どうしているかな、と一日中、気になったのはまったく同じ新学期の初日でした。
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