2013年9月3日火曜日

親の出番

今日は息子が初めて中学に行く日。

日本語を公立の中学校の正規授業で学ばせてくれるパリ16区にあるラ・フォンテーヌという学校に行かせようと思ったママの思惑は失敗し、コパン(仲間)といっしょに近くの公立校に行く、と言い張った息子の意志が通って、あきらは晴れて、この辺りで一番、評判の悪い中学に、お姉ちゃんとともに通えることになりました。

評判が悪いとは言っても、地域柄、荒れた学校ではないのですが、実は我が家の真ん前には、全国的にも名の通った、中高一貫の私立名門校があるのです。私立校には、カトリックのフランス人家庭の、見た目にも「白い」子弟が集まり、公立校はそうでない、ユダヤ系、プロテスタント、そしてイスラム系の移民子弟が溜まっています。まあ、こうなると我が家は当然、公立校のタイプ。ちなみに娘の話によれば、この二つの学校の生徒は互いに反目しているとか。

さて、フランスは入学式というものがないので、親にはまるで出番がありません。あきらは、もうママはいらない、お姉ちゃんに連れてってもらう、と豪語していたのですが、ドイツ語のクラスに入れたかどうか知らせてくる手紙が届いていなかったので、万が一、問題があった場合にはママがいた方が良いということで、どうにかいっしょに行かせてもらえました。

ドイツ語のクラスというのは、中一からドイツ語を勉強できるクラス。英語はいずれにしろ必修なので、外国語をふたつやるわけです。ドイツ語好きの夫の希望で、あきらはやらされることになりました。夫は小学校へ送る道々、息子にドイツ語をこっそり仕込んでいたのです。

予定の9時にどっと敷地内に入った新入生とその親たち。クラスが発表された掲示板の前はたいへんな人だかりで、気の弱いあきらはとても近づけず、「見えなかった」と押し出されてくる始末。結局、ママが果敢に割り込んでいって、ドイツ語のできるA組だということを確かめたので、今回、私の出番は、これだったということになるかもしれません。

あきらは聞いたとたんに、「ガブリエルといっしょだ」と、喜んで友だちのところへ駆けて行きました。親はもう何もすることがないとはいえ、それでも、お姉ちゃんのときは、一応、親も教室に招きいれてくれたのに(しかし一体なんのため? と疑問に思いながらすぐ階段を下りるはめになったのでしたが)、今回は、入り口の外にたむろしている親子たちに向かって、「第六学級A組」と担任が呼びかけると、ぞろぞろと子どもだけが入っていくという、実にあっけない儀式でした。

涙をこらえて「ママ、もう行ってもいいよ」と言った、8年前(幼稚園に入った年)とは様変わりでしたが、どうしているかな、と一日中、気になったのはまったく同じ新学期の初日でした。

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