2016年12月28日水曜日

『哲学する子どもたち』を読んでくれた友人の感想

『哲学する子どもたち』、いち早く読んでくれた東京の友人から感想が届きました。私も面白かったので、本の紹介がてら、本人の許可を得て転載させていただきます。

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ご著書、とても楽しみにしていたので、すぐに読ませていただいたのですが、バタバタとして
いてメールを差し上げるのがすっかり遅くなってしまいました。その間にうちの娘も読ま
せていただいて、とても面白かったと言っていました。彼女からみたら、みつちゃん
や昭くんの学校生活を垣間見たようだろうし、日本でしか外国語教育を受けていない
身としてはいろいろ新鮮だったようです。



内容についてはおしゃべりの中でいろいろ伺ってはいましたが、まとめられて活字の
形になっているとまた浸透の仕方が違うので、改めて理解したり、考えさせられたり
しました。



「フランスの学校でフランスの国民を作っている」というのはすごいことですよね。
そうやって長い年月をかけてフランス人を作っているからこそ、出自が様々でもここ
ぞというときには連帯できるんですものね。フランス人の「権利」と「連帯」という
意識の持ち方って日本人が見習いたいことの一つだと思います。



「道徳」の授業は、さおりさんも知っている私の友人のHeleneが、すごくつまらない
授業だったと昔言っていたことを思い出しました。



「哲学」の参考書がやっぱりあるんだなと思い、ちょっと見てみたいなと思いまし
た。高校の時に「倫理社会」の授業はあったけど、私の高校ではほぼ「宗教」の時間
だったし、でもきっと日本でも受験の予備校化している高校では哲学している余裕は
ないでしょうね。但し、最近の大学受験では歴史など、ある事件のその時代における
意味や影響を100字以内くらいにまとめさせる問題はでているようですよ。「問題
をリライト概念化」とか「テクスト評釈」とか聞くと、そうだったんだ、そこから始
めるべきものなんだと納得したところです。やっぱり一度そういった勉強をしてみよ
うかな?



「バカロレアの日本語」も面白かったです。やっぱり日本人向けに出される外国語の
問題とは違うのね。日本語でも「完全な文章で回答」させることにも納得し、昔パリ
の大学でフランス人がノートを取るときに文章の形で書いていたことにびっくりした
ことを思い出しました。



成績会議については映画“Entre les murs”(邦題:パリ20区 僕たちのクラス)
を見て初めて知ったことです。わが子がフランスで学校に通ったことのある日本人以
外の人にはわかりにくいんじゃないかしら。日本人的には成績会議が先生だけで行わ
れるのでないことは想像がつかないし、それだけ生徒の代表に責任を持たせることに
も驚いたし、保護者が介入できることにも驚いたから。



学級委員選挙も日本とはまるで異なっていて面白かったわ。ちょっと大統領選挙とか
を彷彿とさせるものね。昭くん、残念だったわね。日本でも、大体我々の時代とは
「学級委員」の置かれている立場が違うし、娘の学校では「委員」活動の一つとして
「学級委員」があって、昔ほど、クラスの人たちの支持を必要としていない印象だっ
たから。



ラテン語に対する既修者の意識を知ったら、フランス語の辞書に載っているレベルの
ラテン語がルモンドの記事などにさりげなく一言二言挟まれるのもわかる気がしまし
た。日本の年配の知識人が難しい方の四字熟語を遣うのと同じような感じかしら?

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年末年始で日本に一時帰国中のパリの友人からは、「あなたの本を買いましたよ」とお便りをもらいました。

神戸、三宮のジュンク堂だそうです。
自分の本が書店に並んでいるところが見られないので、これはとても嬉しい。

パリのジュンク堂にも見に行かなくちゃと思いました。