2014年2月9日日曜日

都知事選が終わって


都知事選が終わった。多くの人と同じように、枡添当選の報にがっかりした。

でも、宇都宮さんの事務所や支持者たちが明るいのは救いだ。投票率が46,14 と、昨年の62,6020%も下回り、昨年の得票の一部が細川候補に流れるなかで、得票数を伸ばしたのだから、健闘したと言えると思う。新しい票を掘り起こすのに成功したのだ。もっと選挙期間が長かったら、もっと公開討論会があったら、結果はもっと伸びていたかもしれない。

脱原発運動の人たちの多くが細川氏を支持して去ってしまったのは残念な事件だったけれど、怪我の功名か、なんとなく選対が若返ったみたいで、ポスターなどもはっとするようなセンスの良いものが出てきたし、ネットの使い方も上手だった。「東京デモクラシー始動」というスローガンに共感する。この選挙で宇都宮さんの周りに新しい民主主義の運動が育っているのだ思うと希望がわく。 

細川氏と小泉氏が脱原発を唱えて参戦したのも、画期的なことだったと思う。多くの人が言うように、市民運動や左翼でない、保守系の政治家たちが大々的に語ることで、脱原発を口にすることが、一般的なこととして公認されるようになったのはとても良いことだった。細川さんは当選はできなかったけれど、こちらも選挙運動を通じて、今後に影響する流れができたのであれば素晴らしいと思う。政界再編があることを期待したい。

脱原発系候補の「一本化」ができなかったことを残念に思う人はたくさんいると思う。けれど、どちらか一人の候補にしたら二人の獲得した票を単純に足した得票数になったとは限らない。他へ流れる票が必ず出ただろう。「一本化」は、所詮、無理だったのではないかと私は思っている。広く脱原発の方向は同じでも、他の政策は真っ向から違うものもあるし、脱原発にしても、やろうとしていることの力点の置き方は違っていた。共闘が絶対に不可能と言うわけではないけれど、それをするには、長い時間と労力をかけて話し合い、交渉する必要があっただろうし、互いに後ろについている勢力のことも考えると、妥協点を見出せなかった可能性が高いと思う。「一本化」の夢を見た者たちの思いをよそに、候補者同士はそのことをよく分かっていたのではないか。願わくは、脱原発派の分裂が後にしこりを残さないことを。と言っても、難しいかもしれないけれど。

「一本化」騒動を目にして、私は、フランスのように二回投票制であったら問題は起こらないのにと思った。一回目の投票で50%以上獲得した候補がいなかった場合、上位2名で決選投票をするのだ。第一回投票から決戦投票までの1週間ないし2週間の間に、3位以下の候補は自分に投票してくれた有権者に対して、決戦投票での投票行動の指示を出す。もちろん有権者は指示の通りに投票する義務はないのだけれど、従う数も多いので、第一回投票で獲得した票数は、3位以下の候補が決戦投票に残ったライバルに対して影響力を及ぼす力になる。そこで政策や、あるいは当選後のポストなどの交渉が行われるわけだ。この方式は、第一回投票で自分の推す候補が落ちてしまった場合、有権者が次善の選択をすることを可能にするので、死票の数が少なくなる利点はある。

 まあ、今回の都知事選の場合は、決戦投票があったとして、全細川票が宇都宮候補に流れるとは思えないし、また仮にそうなったとして、さらに家入票その他を集めて対抗しても、枡添単独票に田母神61万票が合流すると考えると太刀打ちできないだろう。誰が入れているのか分からない枡添氏の組織票も手ごわいけれど、積極的支持を集めて獲得されている田母神氏の61万票も、私には、不気味な脅威である。

 私自身にとっても、自分のスタンスを考えるきっかけになった選挙だった。私は選挙戦を通じて、宇都宮候補への支持を固め、それは私にとって経験といえるようなことだったのだけれど、それは私的なことなので、また別に上手に書けたら書いてみることにする。

2014年2月7日金曜日

「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」のメッセージをシェア

東京都知事選、街頭の演説会にはまったく人が集まっていない舛添要一候補が、各社調査ではなぜかトップを走っていると伝えられています。

女性やお年寄りに差別的な舛添氏への投票を女性と心ある男性有権者は阻止してください。

舛添さんの得票が減れば、2位、3位につけている候補者の当選の可能性が出て来ます。拡散をお願いします!
http://masuzoe.wordpress.com/

昨日お知らせした「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」*から、メッセージが届いているのでお知らせします。

*「女は生理のときはノーマルじゃない((BIGMAN1989年10月号「増殖マドンナ議員は日本をダメにするか!?)」といった女性蔑視の発言をはじめとして、舛添氏はこれまで様々な暴言・失言を繰り返してきました。海外でこのような発言をしたら、すぐさまバッシングの嵐、即退陣となるレベルの、人間性が疑われる発言ばかりです。 こんな女性観を持っている男性が都知事になったら、福祉・雇用・女性活用・子育て、全ての政策が後退するのは間違いありません。 私たちは、舛添氏が都知事になることは受け入れがたく、舛添氏の女性蔑視発言を中心に、彼の発言や行動についてより多くの女性に知ってもらうべく立ち上がりました。



舛添要一を都知事にしたくない女たちの会に賛同してくださったレディのみなさま

賛同ありがとうございます!
本日、女たちの会で記者発表をして、十数名の記者が来てくれました。
参加した木内みどりさんやたまぴよさんのツイキャスでその様子を見ていただくことができると思いますので、ぜひご覧ください!

木内みどりさんツイキャス
http://twitcasting.tv/kiuchi_midori/movie/37547540

たまぴよさんツイキャス
http://twitcasting.tv/tamapi_yo/movie/37545843

そして、FACEBOOKやツイッターでも非常に大好評をいただいている“女たちの会”でつくったポスターですが、ネットの中だけではなく、今にも舛添に投票しそうな東京都民にこそ見てもらう必要があります。ですから、このポスターを印刷して、身近な人たちに渡してください。
http://masuzoe.wordpress.com/2014/02/06/posters/


今日の記者会見の資料はこちらです。
メディアのページ
http://masuzoe.wordpress.com/2014/02/05/media/


さらに、もっと活動したいという方は電車の中での“舛添うわさ大作戦”&“ブックカバー大作戦“などなど
ぜひぜひいろんな形で舛添氏の実態を知ってもらいましょう!
http://masuzoe.wordpress.com/2014/02/05/daihon/

いまだに各社調査ではなぜかトップを走っているという舛添氏ですが、あと3日で大逆転をねらいましょう!
ぜひぜひ拡散をお願いします!
http://masuzoe.wordpress.com/

舛添要一を都知事にしたくない女たちの会 有志レディより♥

2014年2月5日水曜日

「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」より賛同募集

舛添要一都知事候補は、女性有権者に人気があるような報道がありますが、都知事候補になる以前は、ひどい女性差別発言を繰り返していたのをご存知ですか?

知らずに一票を投じてしまう前に、一人でも多くの女性に知っていただきたいと思い、今朝、送られて来たメールをシェアします。読んでください。転載、歓迎します。
以下、送られて来たメールのコピー。
 
************************************************************
 
 
 
至急!!!  <転送・転載歓迎>   【重複ご容赦】
 
みなさま、
 
都知事選候補、舛添要一はひどい女性差別発言を繰り返しています。
怒った女性が「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」を立ち上げ。
本日午後記者会見予定。至急賛同人を集めます。
私も早速次のようなコメントとともに登録しました。(コメントはなくてもOK)
 
『石原元知事に続いて、醜い差別用語を、とくに女性や高齢者に対しても平気でふりまくような方を、もう都民は許さないでしょう。知性で批判できないがため、感情的な発言になるものと思います。厚労大臣経験だからと、だまされてはなりません。福祉はどんどん切り捨てられていくことが目に見えています。』
 
まずはこの“ヘイトスピーチ”をご覧ください
 
6日を過ぎてもどんどん拡散を!
都民でなくてもOK.年齢問わず。
よろしくお願いいたします。
東井
 
-----Original Message-----
Subject: 24時間で入会者1000人集めるぞ:舛添要一を都知事にしたくない女たちの会
 
下記緊急プロジェクトを立ち上げました。入会(全国の女性)と拡散(男性も)をお願いします!
 
201426日(木)午後に議員会館で立ち上げ記者会見を行う予定のため、「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」への入会者を緊急に集めています!
 
 
 
千人万人の名前が集まれば、メディアや世論に対し、大きなインパクトを与えることができます。既に昨日立ち上げた上記サイトは15時間で3000アクセスを達成しており、勝機はあります!
 
◆◆◆◆ご協力頂きたいことは下記3点(男性にもできることあり!)◆◆◆◆
 
【1】女性の方(居住地問わず)はこちらのフォームから今すぐ入会を!
フォームとかよくわからない!という人はメールでお名前と肩書きを送って頂くだけでもOK
 
【2】拡散する
<ツイート文例>
24時間プロジェクト!「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」が発足!26日(木)午後の議員会館での立ち上げ記者会見(予定)に向けて、入会(賛同)者を緊急募集中!都外の女性も可!1万人集めてメディアと世論を動かそう!
 
【3】有名人女性入会者集め:私はネットワークがないのでみなさんおねがいします!
 
とりいそぎ!
24時間集中プロジェクトなので楽しんでやりましょう!!!
 
あきやまももか
 
 
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「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」には、私も入会し、以下のような賛同メッセージを送りました。
 
「私は女性蔑視発言を繰り返している舛添氏に、日本の首都、東京の知事になって欲しくありません。東京の女性が生きにくいと思いますし、国際的にも恥になります。」

私が都民の方に、舛添さんに投票してほしくないのは、女性差別だけが理由ではありません。良かったら、前回の投稿も読んでください。

2014年2月2日日曜日

都知事選まであと一週間 都民の方へ


東京都知事選まで後一週間。
もしこのブログを覗いてくださるあなたが、投票権を持っている都民の方だったら、そしてもしも、なんとなく今度は舛添さんではないかと思っていらっしゃるなら、ちょっと話を聞いてください。

舛添さんは、今の自民党政権が支持している候補です。舛添さんを勝たせるということは、今の政府のやっていることに「いいぞ、問題ない、このまま行け」というサインを送ってしまうことになります。

あなたは最近、与党が言論の自由を奪う特定秘密保護法を、世論の圧倒的な反対も顧みず、充分な議論も尽くさずに、ゴリ押しで成立させた、あのやり方に賛成ですか? 
近隣諸国ばかりでなく、国際世論、しかもアメリカさえも憤慨させながら、靖国神社参拝をした首相の思慮のない行為を肯定しますか?
世界最大規模の原発事故を起こして収束の目処も立たないこの地震大国で、まだ原子力発電所を再稼働させ、その上海外輸出までしようという政権を支持できますか? 被害者の救済もできず、日々、食物を汚染し、世界の空気と海を汚染し続けていることを考えてください。

もし、支持できるなら、何も言いません。

でも、それはちょっと違う、とお思いになったら、舛添氏とは違う候補への投票を考えてみて下さい。この選挙は、あなたの意思で政治を変えるチャンスです。

あなたがもし、原発だけはやっぱり止めなければと思うのであれば、細川さんへの投票を考えてみてください。細川さんを応援している小泉元首相は、「原発以外は誰がやっても同じ」と仰っています。ということは他の点では舛添さんとあまり違わない政治になるのではないかと思いますが、ともかく、細川=小泉の元首相コンビが、脱原発に本気なのだけは確かだと思います。元首相の誇りにかけても、与党に圧力をかけて原発ストップだけは実行してくださると信じます。細川氏に一票投じることは、既に申請されている原発の再稼働をストップさせる力になるでしょう。

脱原発はもちろんですが、石原=猪瀬都政下で東京は生きにくくなった、という感じを抱いているのであれば、宇都宮さんへの投票を考えてみてください。宇都宮さんは、具体的な政策を沢山持っています。たとえば認可保育園を増設して安心してお母さんが働けるようにする政策を保育士を増やすこと、保育士の待遇改善とセットで考えています。法定最低賃金を諸外国並みに上げて、労働者を守ること。原発事故で東京に避難している方たちへの援助。大株主として東京都が東京電力の原発再稼働に反対すること。ソウル・北京・東京と都市レベルで友好を求める外交を行うこと、他にもいっぱいあります。是非、HPhttp://utsunomiyakenji.com/policy/#box04をご覧になってください。あなたが密かに希望していることにも回答が用意されているかもしれません。ヤクザにもひるまず率直に話をし、アメリカの妨害にも敢然と立ち向かい、多重債務者救済の法律を与党議員も動かして作らせた宇都宮弁護士は、政策が具体的なだけでなく、政策実行能力もある方だと思います。

なんとなく舛添さんに投票しようと思っている方は、ほんとうに都政を任せられる人であるかどうか、政策をじっくり検討してみてください。舛添氏が強力に押している国家戦略特区は、企業、特に外資が活動しやすくして経済を活性化させるそうですが、こういう内容です。

雇用の規制緩和や混合診療などの医療規制の緩和、道路や上下水道事業など公共インフラ運営に株式会社参入や、株式会社による公立学校運営。5年以上非正規雇用なら正規雇用への転換を義務付ける労働契約法を見直し、要件を満たせば、延長や解雇を可能する。規制は取り払い同一労働同一賃金を目指す。混合診療の枠を拡大し、高額医療に一部医療保険の適用を認める。

同じ「保育園待機児童ゼロ」を言っていても、規制を緩くして、一人の保育士さんが多人数の子どもの面倒をみる、というような悪環境での保育でよいかどうか、企業はたしかに優遇されても、働く人は使い捨てのような状況になってよいかどうか、景気と雇用のプラスマイナスを天秤にかけて、よく考えてみてからにしてください。

街頭演説にさっぱり人が集まらない舛添氏の「圧倒的勝利」が、なぜか予想されていますが、選挙は当選だけがすべてではありません。有権者の意思を表す機会なのです。たとえ、自民党の推す候補が最終的に勝ってしまっても、脱原発候補二人の得票数が、舛添候補の得票数を上回れば、東京都民の民意は脱原発であることが示せます。

あなたの一票をムダにしないでください。

2014年1月31日金曜日

マブルーク・ラシュディの書き下ろし短編「プリンスの鏡」


文學界2月号に、『郊外少年マリク』の著者、マブルーク・ラシュディの書き下ろし短編「プリンスの鏡」を訳出しました。
日本の雑誌が海外の作家に直接、書き下ろしを依頼するというのは珍しいことですが、この小説、この意外な企画が生きた作品になっています。

訳者にとっては、訳し甲斐のある、なかなか楽しい仕事でした。日本語になりにくくて苦労もしましたが。

文學界』のウエブサイトに行くと、冒頭部分が読めるようになっています。

http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/

この号にはラシュディと並んで、
  • 美徳 書き下ろし海外小説  董啓章 藤井省三 訳
  • 包囲 翻訳  タマシュ・ドボズィ 藤井光 訳
  • が掲載されていて、いずれもとても面白いです。

    特集も面白そうでしょう?

    なにしろ2月号。今はもう日本では21日。もうすぐ、店頭から消えてしまうと思うので、まだお読みになっていない方は是非、本屋さんへ!



     
    それにしても、なんでこんなにお知らせが遅れたかというと、それは一重に私の怠慢。
    自分の仕事を宣伝しないでいったいなんのブログでしょう!!!

    けれどひとつ言えるのは、雑誌が届かなかったんです。父の葬儀を済ませて戻って来たフランスに届いているかと思ったらまだで、遅れているのだろうと待っていたら20日になってしまったんです。それでも届かないので問い合わせたら、間違いがあって送られてなかったそうで、編集者さんが急いで送ってくれて届いたのが一週間前。
    しかもいざブログに載せようと思ったら、カメラが壊れていて写真が撮れない。このカメラ、去年の11月に買ったのに、バッテリーがだめになっていて充電できないんです()

    でも、とても幸運なことに、東京の友人が撮ってくれた写真があるので、お借りしてアップしました。

    ですから、やはりお知らせが遅れたのは、情状酌量の余地なし、ただただ私の怠慢なのです。

    2014年1月6日月曜日

    仏様のガレット

    今日1月6日は、フランスではエピファニー(キリスト公現祭)といって、ガレット・デ・ロワ(王様たちのガレット)というお菓子を食べる日です。 

    エピファニーは、星の知らせでキリストが生まれたのを知った東方の三博士(王)が、厩に救い主を訪ねて来た日ということで、クリスマスに始まるキリスト降誕祭の最終日ですが、いまどきのフランス人には、そんなことより、まずガレット。パイ生地の中にアーモンドパウダーで作ったフィリングが入った、わりと素朴なお菓子。面白いのは中にフェーヴと呼ばれる小さな固いものが入っていること。数人で切り分けて食べたときに、このフェーヴが入っているのが当たると「王様」になれるというので、老若男女、ワイワイ、お菓子を囲むのが楽しいのです。ふつうは、大人が切り分けている間に、一番小さい子どもがテーブルの下に隠れて、「それはおじいちゃんに」「それはお姉ちゃんに」というように、見ないで皆に振り分けます。 

    さて、今、私は東京にいるのですが、久しぶりに外出したところ、日本橋の三越の地下で、ガレット・デ・ロワに遭遇しました。日本の家族にフランスの伝統菓子を、王様ごっこの風習ごと食べさせてやろうと、これをひとつ購入することにしました。ところが・・・ 

    「フェーヴ、おつけしますね」 
    と、レジで袋に入った小さなフェーヴをおまけのように付けてくれるではありませんか!!!  
    「フェーヴは中に入っているんじゃないんですか?」 
    と訊くと、 
    「あぶないので、中には入れません。ご希望でしたらご自分で入れてください」 
    え、そんな・・・ 

    けれど次の瞬間、私はにっこりしました。 
    実は、年末に父が他界したのです。実家のリビングには、大きな遺影のある祭壇が鎮座していて、食事やお茶のたびごとに、お供えをしています。 
    だから、このガレットのフェーヴは、お父さんのに入れてあげよう。 

    考えてみれば、フェーヴを中にいれない気遣いも理解できます。みんながフェーヴを探しながら食べるフランスとは違って、そんなものが入っているとは知らない人が多い日本で、うっかりフェーヴを呑み込まれて幼児や老人になにかあっては困ります。だいたい、老人の死の引き金を引くのが、「誤嚥」であることは多い。母は、父の具合が急転したのが、「誤嚥」のせいではないことを知って、とても救われていました。でも、今はもう、誤嚥の怖れもなく、お父さんにあげられます。 

    仏教でお葬式をして戒名もいただいた父が、エピファニーのガレットであの世で王様になれるのか、真面目に考えるとあまり自信がなくなってきますが、どうもまだ、この辺りを漂っているような魂に幸せなことがありますように。 

    *******
    この話には後日談があります。今朝、葬儀でお世話になった業者の方が、お位牌の相談にいらっしゃいました。お茶を出すときに、余っていたガレットを切り分けたところ、仏様にお供えしようとした最後の一切れに、アーモンドが入っていました。日本では、のどに詰まると危ないフェーヴの代わりに、噛み砕いて食べられるアーモンドを入れていたことがそのとき分かりました。そして私が小賢しいことをしなくても、フェーヴは「お父さん」に当たったのでした。(1月8日)

    2013年12月6日金曜日

    秘密保護法が国会通過した日


    朝、起きるとネルソン・マンデラが死んでいた。
    世界中の国家元首、首脳から弔辞が寄せられていた。
    秘密保護法案が参院でもまた強行採決されようとしていたこの日、日本の首相はどのツラ下げて、マンデラに弔辞を送るのだろうと思った。

    秘密保護法案は、言論の自由を損ない、人権に抵触する法案だ。国連人権高等弁務官が異例の懸念表明をしたくらい。

    けれど、連日大きくなるデモも、学者、芸術家、ジャーナリストなどの数々の団体の反対声明も、地方議会の慎重審議を呼びかける議決も無視し、国会は力づくで議論を打ち切り、数の力で採決を強行した。衆院でも参院でも、合計4回も。

    悪夢のようだ。

    議論も尽くさず、そんなに急いでなりふりかまわず法案を通したのは、議論すればするほどボロが出ると知っているから? 戦争をする国に日本を作り変えるのに早くしなければならない理由があるから?

    それにしても、どこまで国民をバカにしているのだろう。「可決後、ご説明いたしますから、ご理解、ご安心いただけると思います」。ご理解いただいてから採決するのが民主主義なのは、小学生でも知っているはず。

    マンデラの死んだ日、日本では民主主義が大きな打撃を受けた(「死んだ」とは言わない)。どうしてこんなことになってしまったのか、と思うと目がくらむ。

    秘密保護法案の可決を何より恐れて来た、この数ヶ月、特にこの一ヶ月。
    でも、可決されてしまった今、私には、多くの人と同じように、「抵抗を続けよう」という気持ちだけがある。抵抗する人を助けたいと思う。

    施行されるまでにはまだ時間がある。打つ手はある。

    頑張りましょう。

    *******
    おまけ
    Facebookで流れてきた「今日の名言」より
    「何もせず、何も言わず、不正に立ち向かわず、抑圧に抗議せず、それで自分たちにとっての良い社会、良い暮らしを求めることは不可能です。(ネルソン・マンデラ)