2018年12月11日火曜日

12月9日のパリの光景

 Gilets Jaunes (黄色いベスト)の4回目の大行動のあった128日の翌日、パリを見に行きました。

Champs-ÉlyséesのHSBC銀行


Champs-ÉlyséesのORANGE
  

Champs-Élyséesのドラッグストア




Bd. Haussemannの落書き


「終わりは近いぞマクロン」

「お前が道を渡るのを手伝ってやるよ」
マクロンが失業者に「道を渡ってカフェやレストランで聞けば必ず職が見つかる」と言って、
人々の顰蹙を買った事件に引っ掛けた当てこすり

 落書きのほとんどはマクロンの悪口で、嫌われているなあと実感しました。デモのスローガンも「マクロン辞めろ」が主でしたしね。

 昨日の月曜日、ずっと姿を現さなかったマクロンが事態を収拾するため、緊急対策を発表しました。最低賃金を2019年1月から100€アップ、年末の特別手当、残業代免税、年金が月2000€以下の者はCSG(社会保障関連税)値上げ据え置きなど、購買力アップのための政策を約束。

 デモの要求が通ることなどない日本を故国に持つ私などトロいので、これに先週決めた燃料税値上げ取りやめも含め、Gilets Jaunesは随分成果を上げたのでは、などと思うのですが、そんな風に思うのは、フランス人であればマクロンの取り巻きと中道と保守の一部くらいのようです。

 失業者には何の対策もない、最低賃金より少し上の給与所得者だって生活は苦しいのに対策がない、財源が税金だが、富裕層優遇のためになくした富裕税の復活については考えてない、などなど、全く不十分と言う声が大きい。そう言われればそれはそうだ。

 そんなわけでFacebookではまた土曜日のACT5が、すでに呼びかけられている。

 ひとつ私が思うのは、今回のGilets Jaunesの運動は、労組などが主導する、いつものデモと違って、ひょっとすると政府からいくつかの譲歩を勝ちとってよしと終わりにならない可能性がある性質のものかもしれないということ。

 生活苦と怒りに任せて、自然発生的に起こったこの運動には指導者がいない、要求も様々。ただ彼らが一致できるのは、反マクロン。

 また、マクロン自身が議会多数派であることを良いことに、議会を尊重しない独裁ぶりを発揮していたわけですが、そこに歯止めをかけるのはやはり議会でなく直接、民衆であったということも新しい。

 極右政党のルペンも極左政党のメランションも解散総選挙を訴えるのですが、何となくトンチンカンな感じがしないでもありません。

 ここからマクロンに対峙するために何が起こるのか。議会に力を取り戻させるという選択もありますが、既成政党が軒並み支持を失ってしまっている現在、どうなのでしょう。ひょっとすると直接民主制に近いものが生まれようとしているのでは、と思ってみたりもするのです。

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追記 これを書いた日、ストラスブールでまたテロが起こりました。テロに狙われるようではデモなどしている場合でない、危険だということで、政府はデモの中止を呼びかけています。Gilets Jaunesはこれを拒絶したということですが。

また、マクロンの緊急対策発表の後、Gilets Jaunesの5回目の行動を支持する声は、これまでの70%から50%くらいにまで減りました(調査によって46%から54%)。
 



 

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