2015年1月8日木曜日

シャルリー・エブド襲撃事件と日本

 1月7日、パリ時間午前11時30分、パリの週間風刺新聞シャルリー・エブドが覆面の武装した男たちに襲われ、有名な風刺漫画家やジャーナリスト12人(警官2人を含む)警官2人が殺された事件は、日本でも報道されたと思います。
 これに関して、ハフィントンポストの記事を見ましたが、日本の人たちのコメントが「風刺画がイスラム教徒を傷つけていることに一因がある」というようなものが多く、言論の自由と民主主義への重大な攻撃だと理解するものが少なかったことにびっくりし、フランスにいる者として、一言申し上げたいと思いました。
 日本では知られていないので誤解もあると思いますが、「シャルリー・エブド」は決してイスラム教だけを標的にしていたわけではありません。カトリックもユダヤ教も等しく槍玉にあがったのだし、人種差別には反対の立場でした。
「笑い」というのは難しいもので、文化を共有していないといっしょに笑えないということはあります。フランス人のユーモアが必ずしも面白くないということは私にもあります。侮辱された気がすることもあるでしょう。でもそういうときは抗議すればよいのであって、「笑い」に殺人で対応しようとするのは、あり得てはならないことですよね。
 実際、フランスの多くのイスラム教徒は、「シャルリー・エブド」を読んで笑ったり、読んで憤慨しても平和的に抗議したり、あるいは読まなかったりしているのです。
 下に引用した朝日新聞の社説は、なんとなく優等生的だし、日本の言論の現状に対する反省をこずるく回避しているのは気になりますが、まあ、まともで安心しました。
 「戒めるべきなのは、こうした事件の容疑者と、イスラム教徒一般とを同一視することだ。そのような誤った見方が広がれば、欧米市民社会とイスラム社会との間に緊張関係をつくりたい過激派の思うつぼである。
 貧困や専制政治などによる社会のひずみから、イスラム世界には過激思想に走る者が一部いることは否めない。だが、圧倒的多数の人々は欧米と同様に、言論の自由や人権、平等などを尊ぶ社会の実現を望んでいる。」
 少なくとも、フランスのイスラム教徒の圧倒的多数は、フランス共和国の言論の自由を支持しており、テロリストといっしょにされることを望んでいません。
 今日は世界中で「シャルリー・エブド」と言論の自由を守ろうという集会があり、世界中の漫画家やジャーナリストからエールが送られました。
 日本の沈黙は、フランスに住んでいる身にはイタかったです。

朝日新聞の社説
http://www.asahi.com/articles/DA3S11541631.html

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