2019年9月26日木曜日

シラク逝く

今日、ジャック・シラク元大統領が亡くなった。
夜のテレビは大騒ぎ。エッフェル塔の照明も消えているという。

私はちょうどメトロに乗っていて、コンコルドで降りようとした時、
iPhoneがピンと鳴って、ニュースを知らせた。
12時くらいだったかしら。
ルモンドは何かというとニュースを送ってきて、ピンピンとうるさいので、あまり気にもとめずにそれでもメッセージを見たら、Jacques Chirac est mort. とあって、さすがにオッと声が出た。
そういえば病気だったなぁ、認知症も患ってたんじゃ?

けれどシラクが逝くというのは、私にはやはり感慨がある。
だって、私がフランスに来た最初の年に大統領選があって、ミッテランとシラクの今や有名な討論を、下宿先の家のテレビで観たのだもの。
当時はフランス語がまだあまり聞き取れなくて、どれほど分かったんだか、あんまり分からなかったと思う。
それでも下宿先のおばさんが、討論が終わった後、「シラクが優勢だったね」と満足げに頷いていたのを覚えている。地方のブルジョワで、シラク支持だった。
でも勝ったのはミッテランだった。1987年のことだ。

テレビで回顧番組を観ていたら、あのときこのときを思い出す。
シラクがとうとう大統領になって、核実験をした時のこと。
フランスがサッカーのW杯で優勝した時のこと。
内務大臣だったサルコジが、郊外の若者を「クズ」呼ばわりした時のこと。
2002年の大統領選で、社会党のジョスパンが第一回投票で落っこってしまい、寛容と平等のフランスを代表してシラクが再選された時のこと…
私にもそれなりにフランスで生きた時間が、積み重なっているのだ。

なんだかあの当時の方が、今よりいろんなことが分かっていたような気がする。
今よりもっと、明るい世界に生きていたような気がする。
まだテロもなかった。
フランスは自国の社会保障に誇りを持っていた。
イラク戦争に反対したフランスには矜持があった。
大統領は国民に愛されていた。

シラクが死んでしまって、また時代の移り変わりをズシリと感じる。
私も年を取ったのだと感じずにいられない。





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