2012年12月14日金曜日

衆院選前夜

久しぶりのブログです。日本に行ったりしていて、お話しすることは沢山あるのですが、明日は衆議院選挙なので、今日はそのことを書きます。私は数日前に読んだ、こんな記事がずっと気にかかっているのです。
あとから振り返って「あの時が分かれ目だった」と、数年後に歴史の転換点に気づくことは多い。ほとんどの有権者は、まだ気づいていないが、12月16日の総選挙は、歴史の転換点になるとみていい。この選挙は、日本が終末に向かう序曲になるだろう。法大教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。 「民主党に失望した有権者は『ほかに入れる党もないし』という軽い気持ちで自民党に一票を投じるつもりかもしれない。しかし、軽い気持ちで投票したら、今回ばかりは、有権者の意図を超える重大な結果をもたらすと覚悟すべきです。『3年前の自民党政権時代に戻るだけさ』と思ったら大間違いです。3年前とは自民党の体質も、政治状況も一変しているからです。さすがに3年前は、自民党も〈国防軍〉や〈改憲〉を前面に出すことはなかった。安易に自民党に票を入れたら、こんなはずではなかった、という結果になりますよ」 (12月10日付『日刊ゲンダイ』より引用)
私もFacebookで教えてもらって、きのう初めて読んだのですが、自民党が今年4月に発表した憲法改正草案(水色部分をクリックしてください)というものがあります。 細かく詳しく批判する時間も能力も私にはありませんが、それでも本当にびっくりすることがあります。「公共の秩序」を理由に、結社、言論の自由を制限しようとしていること、基本的人権さえも「公共の秩序に反してはならない」と制限されていること、「緊急事態」においては、内閣が法律と同様の効力を持つ政令を制定できるとしていること、内閣総理大臣が「国防軍」を統括する、などです。 私の理解では、これは現行憲法よりも、戦前の大日本帝国憲法にきわめて近いです。基本的人権や言論の自由に制限を加えようというのは、フランスでは対独(ナチス)協力政権ヴィシーがやったことです。 自民党が第一党になったからといって、すぐに改憲が行われるわけではないだろう、と思われると思いますが、自民党が極めて危険な憲法草案を現に作ってしまっている党であるということには変わりはありません。選挙に勝てば、一歩実現に近づきます。
私はフランスに住んでいますが、先ほどFRANCE2のニュースで、日本の衆院選のことをやっていました。なんと、長く時間を割いて取り上げられていたのは、東京8区の山本太郎でした。原発事故後初めての衆院選で、当然、脱原発が争点になるだろうという予想を裏切って、緑の党はまだあまりにも弱小、脱原発を訴えるたった一人の候補、山本太郎、という報道でした。「日本未来の党」をはじめ、脱原発を提唱する党はあるので、幾分、フランスの報道は情報不足ではないか、と思わないこともありませんでしたが、脱原発の波が衆院選に押し寄せず、原発問題が大きな争点になっていないことは事実であり、外国のメディアから見ると、それはやはり不思議なことなのだろうと思いました。自身、原発推進国であるフランスから見てさえも。 今もいつ崩壊して大事故になるか分からない4号機をはじめ、毎日放射性物質を吐き出し続けている福島第一原発、過酷な状況下で収束作業に携わらなければならない人たち、汚染されてしまった土地、食物、故郷や生活の糧を失ってしまった人々、放射能の脅威に晒されたまま生きている子どもたち… これほどの悲惨を生み出してしまい、これからも生み出す可能性のある原発を、自民党は、それでもまだ続けようと公言している党です。 その点を曖昧にしたまま、日本の国民はこの党に権力を渡してしまうのでしょうか。
多くの国民が、積極的に自民党を支持しているわけではないことは、分かっています。 もしそうであるなら、どこに投票していいか分からないからとりあえず自民党に投票するというのだけは止めてもらえたらなと思います。自民党はもうかつての自民党ではないし、自民党が政権に返り咲いても、日本が原発事故以前に戻るわけでもないのだから。 私はもう投票を済ませました。 とても不安な思いで、日曜日を待っています。

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